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長峰ブログ

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Topics / リスク(標準偏差)とは

リスク(標準偏差)とは


まず大前提として、過去のリターン実績を集計していくと、平均値(期待リターン)を中心とした山の形になると考えられます。これを「正規分布曲線」と呼んでいます。データが少ないと「そんなことない」というケースもありますが、データが多ければ多いほどこの釣鐘状の形に近づいていきます。

たとえば「大数の法則」というものがあります。(ここはリスクの説明とは切り離して、正規分布になることの補足説明と考えてください。)サイコロを振って1の目の出る確率は、振る回数を増やせば増やすほど6分の1に近づいていきます。数を増やせば、発生する確率が一定値に近づくということで、これを大数の法則といいます。個々人にとっては偶発的な事故であっても、大量のデータで見ることによってその発生率を全体として予測できるということになり、この統計的確率は損害保険や生命保険に生かされています。

正規分布

データ数が多ければ多いほど、釣鐘状の形になると理解していただき、話を次に進めましょう。リスクは統計学で使う「標準偏差」で表されます。つまり平均値(山の頂上の位置)から、どれだけ離れているかを計算します。平均値を「μ(ミュー)」、標準偏差は「σ(シグマ)」という記号を使います。(日本地図上の温泉マーク温泉マークみたいなものです。ゴッチャにならないよう記号化しているだけですが、ギリシャ文字なのでシックリくるまで逆に混乱しちゃいますね。)

上の図を見ていただくと、「平均値±σ」が68.26%となっています。つまり統計上、平均値から±1標準偏差《1σ》の範囲内に約3分の2の確率で入ることを表します。また「平均値±2σ」(標準偏差を2倍したもの《2σ》をプラスマイナスする)が95.44%、「平均値±3σ」(標準偏差を3倍したもの《3σ》をプラスマイナスする)なら99.73%の確率で入りますよということです。ですからリスクというのは、あくまで過去、「平均値から3分の2の確率で入った範囲」を「バラツキ具合」として示しているものだとお考え下さい。

具体的な計算例をご紹介しましょう。

50人生徒がいる、あるクラスのテストの平均点が55点でした。(得点の合計は2,750点、50人で割ると55点でしたということです。)ではこのクラスの成績分布はどうなっていたでしょうか?(50人はデータとして少ないかもしれませんが、正規分布する前提です。)平均値55点(μ)からのバラツキ具合(σ)を実際に計算していきましょう。これがリスクの計算方法です。

1人目A君の成績は60点、平均値55点からの差異は5点です。
2人目B君の成績は50点、平均値55点からの差異は-5点です。

今二人だけ平均値からの差異(バラツキ具合)を計算しましたが、この二人だけの差異を合計すると「5-5=0」となってしまい、平均値からのバラツキ具合が計測できなくなってしまいます。プラスとマイナスが混在するとこうした事態が発生することから、やり方を変えることにします。まずはマイナスの差異が発生しないように、差異を2乗してやります。そして差異の合計を計算し、その平均を算出したあとで、2乗を√を使って解くことにします。

1人目A君の成績は60点、平均値からの差異は5点です。2乗すると25になります。
2人目B君の成績は50点、平均値からの差異は-5点です。2乗すると25になります。
3人目C君の成績は58点、平均値からの差異は3点です。2乗すると9になります。
………

こうして50人各々を計算した結果、2乗した差異の合計が4,200になったとします。
平均の差異は4,200÷50人で84と計算されますので、これを√を使って2乗を解きますと、9.16という差異が計算されました。この9.16がこのクラスのテスト結果におけるリスク(バラツキ具合、ブレ幅)になります。リスクの数値、つまり標準偏差が小さければ、それだけブレ幅が小さいわけで、ということはリスクが低いことになりますし、逆に標準偏差が大きければ、それだけリスクが高いことになります。

こうして算出されたリスクの数値から見えてくる、このクラスのテスト成績の分布は、55点±9.16の範囲内【45.84点~64.16点】に3分の2の生徒が入ったことになります。※この範囲外に3分の1の生徒がいることを忘れないこと。
55点±(9.16×2)の範囲【36.68点~73,32点】に約95%、
55点±(9.16×3)の範囲【27.52点~82.48点】に約99%
が入ったことになります。


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